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2005.07.02

一つの果実ですね。

たば風 蝦夷拾遺
著者/訳者名 : 宇江佐真理/著
出版社名 : 実業之日本社 (ISBN:4-408-53473-0)
発行年月 : 2005年05月
サイズ : 252P 20cm
価格 : 1,680円(税込)

 髪結いシリーズ以外の宇江佐さんの作品は、「おちゃっぴぃ」などの初期の短編集と比べて、歴史的事実に目が向く傾向が強く、それは決して成功しているとはいえませんでした。
 何をえらそうに・・と怒られるのは承知で書きますが、「深尾くれない」の様に労作であるのは認めるものの、作品的には決して成功していない思えるものも散見されます。
 読後の感想に度々「昔の様に単純な恋愛ものや人情ものを書いてもらいたい」と書いてきました。今でもその気持ちは変わりません。宇江佐さんは本当に素晴らしい作品を書くことができるし、その本領は市井ものにあると私は思っています。
 さて、この本で維新時期の人々の姿を描いているのを読ませてもらって、ああ・・出来てきたな・・。と思いました。歴史的な事実を書くのではなく、そこで人々がどう暮らしているか、何を考えているかを市井の立場で書くことで、確かに作品に厚みが出るのでしょう。小説にとっては歴史もひとつの小道具にすぎません。
 次の作品、期待しています。

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